イミテイション
どうか朝を迎えませんように。
消したばかりの電燈が光を名残り惜しそうに抱えてるのを眺めて、ぜんぶの涙が枕にしみ込んだあたりから闇の安心感の中に沈みきる。
僕の部屋は光がめちゃくちゃだ。
外の通路を照らす電球が煌々とする夜。
電球も、太陽も近寄らない朝。
ああ。今度もしくじった。また朝だ。
暗い天井から無機質な絶望が覆いかぶさる。
何度息を止めても、うるさい鼓動は止まないし。
今日を終えたら、また明日が来てしまう。
嫌だ。嫌だ。嫌だ。消えてしまえ。
そうやって毎晩「今日」を延長する。
でも一番悲しいのは始発電車。
改札。新聞のにおい。スーツの黒。日常が迫る。
飲みたくもない自販機のお茶を買って、温かさを抱きしめる。
さようなら。楽しみだね。ほんとは全部イメージだけの存在。
僕もあなたも、居やしない。